注目選挙―認知戦・影響力工作ウォッチ / 2026年8月26日
今回は2026年沖縄県知事選シリーズの第一回目、告示前日のオンライン言論空間の初期観測(Day 0)である。前夜は王道のSNSであるX(旧Twitter)を中心に、これまた王道の「沖縄知事選」をキーワードとして収集したX投稿2,380件を対象に、頻出するキーワード・タグと、投稿内で共有された情報源を確認した(一次データ集計と分析は小社”omni oculus”を利用)。
ただし近年の影響力工作の研究ではキーワードごとの分析は真相に肉薄するアプローチとしては不十分とされる(必ずしも工作者はストレートな言葉だけで工作をするとは限らないから)、その際にはセマンティックなアプローチも検討される。今回はあくまで導入ということで、諸指標を検討する。
サンプル集計期間:2026-08-23 07:00~2026-08-26 08:00(対象48時間・提供データの集計条件に基づく)
1. キーワード・タグ分析
ワードクラウドでは「沖縄」「知事」「県民」「デニー」「古謝」「政策」「選挙」などが大きく現れ、候補者名、選挙制度、政策・支持をめぐる語が同じ言論空間で交差していることが分かる。
※文字の大きさは出現頻度を視覚的に示すものであり、語の肯定・否定や投稿者の立場を示すものではない。

頻出ハッシュタグ 上位10件
| 順位 | ハッシュタグ | 出現数 |
|---|---|---|
| 1 | #沖縄県知事選 | 349 |
| 2 | #玉城デニー | 114 |
| 3 | #古謝げんた | 71 |
| 4 | #沖縄県知事選2026 | 68 |
| 5 | #沖縄県知事選挙 | 54 |
| 6 | #沖縄 | 41 |
| 7 | #古謝玄太 | 41 |
| 8 | #Yahooニュース | 38 |
| 9 | #公職選挙法違反 | 25 |
| 10 | #下地幹郎 | 24 |
選挙名の表記違いが上位に複数入り、候補者名では「古謝げんた」と「古謝玄太」が分かれて集計されている。今後の比較では、候補者名と選挙名の表記ゆれを統合した集計も併用する必要がある。「公職選挙法違反」の出現は一部、出所不明な言論が発信されつつあるが、事実未確認のナラティブである。
これらの言説に今後、不審な重みづけと拡散が生じるか否かが分析上、重要な分水嶺となる。
2. クロスプラットフォーム集計(Xのサンプリングを中心とした)
今回サンプリングされた2380件のtweetsに対し、1140件のリンクが検出された。この数日は2025年の参院選での40万件あまりのサンプリングではURLの出現率は20%前後で推移をしていたことを考えると、比較的多いことが顕著である。1140件のうち、重複を除くURLは766件であり、リンク先の半数はX内部の投稿であった。YouTubeはリンク先数では14.1%であるが、延べ出現数では21.2%を占め、同じ動画が繰り返し共有される傾向が見られる。
グラフ1:異なるリンク先766件の構成
リンク先 766件
X384件 / 50.1%
YouTube108件 / 14.1%
Yahoo!ニュース57件 / 7.4%
直接リンク170件 / 22.2%
その他47件 / 6.2%
グラフ2:リンク先の多様性と共有回数の比較
3. 同じリンクはどの程度繰り返されたか(同一コンテンツの組織的拡散)
グラフ3:リンク先ごとの反復
82.9%
一度だけ出現
上位10リンクの合計でも全出現数の12.4%である。全体としては、一つのリンクに極端に集中するより、多数のリンクが一度ずつ現れるロングテール型である。
4. 最も共有されたリンク
グラフ4:リンク先別の出現数 上位10件
以下に示される通り、不審なURLの拡散や組織的人工的拡散はDay-0では乏しい、と言う結論となった。
| 出現数 | リンク先 |
|---|---|
| 28 | 琉球新報の記事 |
| 26 | 産経新聞の記事 |
| 17 | 朝日新聞の記事 |
| 14 | YouTubeライブ |
| 13 | 産経新聞の記事 |
5. 認知戦・影響力工作の兆候はあるか
このURL分布だけから、組織的な影響力工作を示す決定的な証拠は確認できず、上述の諸指標からその痕跡は乏しいと結論づけられる。ただし、今後の時系列・アカウント分析で優先的に確認すべき対象がある。
調査上の注意本集計は、Xで取得した「沖縄知事選」関連投稿に含まれるリンクの分析である。Facebook、Instagram、TikTok、YouTube各プラットフォーム内の投稿量そのものを比較したものではない。また、公開された選挙運動・支持活動と秘密の影響力工作をURLだけで区別することはできない。本稿の「兆し」は断定ではなく、追加検証を要する観測指標を意味する。