OVERRIDE 2022 / INFORMATION SPACE STUDY 02

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INFORMATION SPACE STUDY / 02
医学・公衆衛生に関する編集上の注記

本連載は、情報空間における言説の形成・拡散過程を分析するものであり、特定の医学的見解、治療法、または特定のワクチンの有効性・安全性を評価することを目的としません。

感染症、ウイルスおよびワクチンに関する医学的判断については、公的機関および医療専門家が示す最新の情報をご確認ください。

本稿で用いる「反ワクチン」等の表現は、2022年当時に観測された言説上の傾向・自己表明を整理するためのもので、個人や集団全体への医学的・人格的評価ではありません。

新しい言説は、何もない場所には広がらない。すでに形成されている不信、対立、期待、恐怖。その中へ新しい出来事が入り込み、以前から存在していた物語の一部として説明される。

2022年2月、Sola.comが継続的に観測していた一部のアカウントでは、侵攻以前には新型コロナウイルス、ワクチン、政府の感染症対策、製薬企業などをめぐる投稿が多く見られた。ところが情勢が緊迫すると、ウクライナ、ロシア、NATO、米国、生物兵器といった言葉が現れ始めた。

変わったのはテーマだった

国際的な重大事件が起きれば、それまで別の話題を扱っていた発信者が新しい事件について語り始めること自体は不自然ではない。重要なのは、何について語り始めたかだけでなく、新しい出来事がどのような物語の中へ置かれたかである。

変わらなかったのは解釈の枠組みだった

一部の観測対象では、感染症政策とウクライナ情勢が、共通する一つの解釈枠の中で説明されていた。「政府の説明には裏がある」「主流メディアは重要な事実を報じない」「米国を中心とする勢力が背後で事態を動かしている」といった枠組みである。

FIG.01 テーマは変わり、解釈の枠組みは残る
侵攻前に多く見られたテーマ
  • 感染症政策
  • ワクチン
  • 製薬企業
  • 国際機関
侵攻前後に増えたテーマ
  • ウクライナ
  • ロシア
  • NATO
  • 生物兵器
「政府・主流メディアは真実を隠している」
「背後に秘密の計画がある」
一部の観測対象に見られた構造を一般化した模式図であり、感染症政策への批判を持つ人々全体を示すものではない。

「反ワクチン」という言葉だけでは説明できない

ワクチンの安全性に個別の懸念を持つ人、政府の感染症政策を批判する人、医療機関や製薬企業を信用していない人、あらゆる公的説明を陰謀として理解する人。それぞれの立場、理由、行動は異なる。

したがって、「反ワクチン言説を発信していたから親露言説へ移った」と一般化することはできない。観測されたのは、一部の対象で、感染症政策と親露的言説が同じ発信者、同じ参照先、同じ情報経路の中で見られるようになったという現象である。

既存のネットワークが新しい言説を運ぶ

個人ブログや動画は、長い説明、画像、公開文書を一つの物語として保存できる。一度ブログ上で物語が構成されると、SNSではリンクと短い結論だけを共有すればよい。感染症を扱っていた発信経路が、そのままウクライナ情勢を扱い始めれば、既存の読者や共有者も新しいテーマへ移動しやすくなる。

FIG.02 既存の情報経路に新しいテーマが入る
侵攻前:発信者 → 個人ブログ・動画 → 共有者
感染症関連の言説
↓ 同じ経路が継続
2022年2月以降:発信者 → 同じ媒体群 → 共有者
ウクライナ・生物兵器関連の言説
プラットフォーム自体の関与を示すものではなく、既存の発信・共有経路が再利用される一般的構造を示す。

同じ時期の変化は、指令の証明ではない

社会的関心の自然な移動、既存世界観との親和性、ネットワーク内の模倣、推薦アルゴリズム、意識的な協調、外部からの働きかけ。複数の可能性を分けて考える必要がある。

観測から言えること

投稿テーマや共有先の変化は確認できる。一方、外部からの指示、金銭授受、国家機関による直接運用を判断するには、公開投稿とは別の証拠が必要である。

テーマは変わった。物語の型は残った

感染症から戦争へ。ワクチンから生物兵器へ。製薬企業からNATOやウクライナ政府へ。出来事は変わった。一方、公表されている説明は偽りで、隠された計画があり、それを暴く側が存在するという物語の型は残った。